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□「前向きになれば前向きな未来が描けるんだよ」J8
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ジュデッカ開戦とビックブリッジ突入作戦が終わり、テラスで一息つくエイト。

今日の授業はサボり。
なんだか今日は受ける気分ではなかった。

テラスで一人、肌を掠める風はとても気持ちが良かった。
テラスに前屈みになって寄りかかり、物思いにふける。

今思えば、今までの作戦の中でも一際苦労した戦況だった。
身に覚えのない蒼龍の女王暗殺事件により、蒼龍が白虎に付いたときは、戦況は不利になるだろうと、8席議会や生徒の中でも囁かれたが、朱雀のルシ・セツナによる秘匿大軍神の発動によって大勝利を収めた。
それと引き換えに、多くの死傷者が出た。
ルシ・セツナに付いた候補生は皆、遺体となって帰り、ことあろうにも俺達の隊長であるクラサメ隊長も死んだという。

あるとき、ルシ・セツナが昇華された姿は、さぞ綺麗だっただろうと囁く生徒がいた。
それに対して、女生徒はルシ・セツナに仕えて死を遂げられるなんて羨ましいわと言っていた。

何故、ルシ・セツナに仕えて死ねるのが羨ましいと言えるのか、気になり聞いてみたところ、朱雀の戦士として、朱雀の代表であるルシ・セツナに力を捧げ、朱雀のためになるのなら幸せだという。
朱雀のために死ねるのは本望だ、と。


…わからなかった。
それが朱雀のためなのか。人間性のかけらもないのか。死ぬのは怖くないのかなんて言ったら、お前は本当にアギト候補生か?と言われた。


人が死んでも、怖くない。
でもその大切だった人の事が思い出せないのは怖い。


そう想ってるのは俺だけなのか?


………らしくないな。





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