その他
□だって思春期だもの。シオネズ
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「…なるほど」
部屋の隅で1人ぶつぶつ納得し、思考を一点に集中させる紫苑。
顎に手をかけ、とある名探偵が目の前で起こった、殺人事件の暗号を解読しているみたいだった。
だがもし本当にそうだったとしたら、ペットのネズミに「ハムレット」という名前は付けたりしないだろう。
俺の理想だけど。
地べたに置かれた、少し汚れた本の数々。本という本を棚から引っ張り出して、読み終わったら床に本と本を重ねてゆく。
とうとう本棚は空っぽになった。
全部一気に読むのだろうか。
棚が空になったかわりに紫苑の隣には本の塔があった。
只今、最高記録更新中。
紫苑の手元の本を見ると、ページ数は残り少しだった。
「陛下、ここは私の部屋です。そんなに散らかされては困ります」
手を胸に、少し屈む。
「ごめん、今のうちに知りたいことがあるんだ」
地べたに座り込んでいる彼は、手の内に展開されている物語に夢中。視線を少しもこっちに寄越さない。
「……」
ちょっとムカつく。
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