その他

□黒い絆 セフィクラ
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セフィロスのふるった一撃で大剣が弾き飛ばされた。
両手が空いた今、なにも太刀打ちできなくて、セフィロスに易々と押し倒されてしまった。

「…なんのつもりだ。」

宙に高く、舞い上がっていた大剣は俺のすぐ横の地に突き刺さった。

「お前が隙を見せるからだ」

「そんなことは聞いていない。決着はつけないのか」

「最初からそんなつもりはない。私はこうしてお前に触れるためにここに来たのだ」


「…っ!」
言い終わるや否や、突然俺の服をその長剣で破り始めた。

「なん、のつもりだっ…!」

必死の抵抗をしてみるけど、歯が立たない。それに構わず、ズボンの布を破り続ける。
皮膚に剣が掠める。そのたび、真っ赤な血が傷口からあふれ出てくる。

「先ほども言っただろう、この私に隙を見せるからだ」
「くっ…!」

ぼろぼろになったズボンから血が溢れたところを指でゆるゆると辿っていく。
刺激されて過敏に反応する。
それをみて面白そうに笑みを浮かべるセフィロス。


「な、にが…そんなに面白い…っ」

「面白いさ。私の人形がこんなにぼろぼろになってゆくのだから」

「っっ!」

再び傷口に爪を立てる。
痛くて意識が遠のきそうになる。
だが、セフィロスはそれを許さないとばかりに、首筋に舌を這わせていく。

金髪がわずかに揺れた。


「やはり、感じるか?」

「…っ、気色、わるいだけだっ」


わずかばかりの抵抗を見せるが、腕を押さえつけられていて、全く動かず。
かわりに、剣が腕にむけて振り下ろされた。

「くっ…あ……」

痛みに顔を歪める。
もう、この男になす術はないのか。
なんのために、色々なことを仲間と乗り越え、ここまで来たのか。

脳裏に花の人が浮かぶ。
花を片手に、いつも笑顔の、女神という名がふさわしいピンクの人。

忘れられない。
君を想ってた日々を。



「忘れるな、お前はどんなに足掻いても、俺の手の中にある」

耳元で低く囁いていく死神。

あぁ、もう逃げられないと思った。
もう、ダメなのかな…俺。
こんな重いもの、背負いきれないのかな…。

暗闇の中で、白い死神が薄い笑みを浮かべ、剣が振り下ろされた。
そこら中に飛び散った黒い血。

「お前らの希望はここで潰える運命だったのだ」


その声はクラウドに掛けられたものでは ないようだった。


「どんなに助けようとしても、こいつ自身が他の者を守りたいという気持ちがない限り、絶望に染まる」

朱い花びらが、横たわっている“もの”の上に舞い落ちる。

薄れる意識の中で、二人の影が悲しそうに傾いたのを感じた。





END

―――――――――
訂正 8/9
「飛び散った血の中に混じった涙なんて誰のものか忘れた」っていう表現じゃ、セフィとクラ以外に誰がいるかなんてわからないよなと思い、訂正しました。
…前の方が良かったりするのかな?


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