その他
□無音の風
1ページ/1ページ
「なあ、グレイ」
「んだぁ?ナツ」
グレイが気怠そうに答える。
「俺、グレイのこと、……きらいだ」
「……そっか。 まぁ、しゃーねぇーよな」
彼はこっちを向いて笑う。
何事もなかったかのように。
全然、哀しいといった表情じゃなくて。
何故、笑っていられる?
なんで、普通にいられる?
俺はお前に、ヒドイこと言ったのに。
なんだか、まるで……
俺が、ふられたみたいじゃねーか。
「……それでも」
彼が口を開く。
よく通った声が、俺の耳の中に入っていく。
「それでも、俺は お前のことを愛している」
俺の髪とグレイの髪を揺らしていた風が、一瞬、止んだ気がした。
end