いろいろ

□殺と愛 ガイルド+all
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仲間ってこんなんだったかなぁ
ため息を1つ空に零す。



見上げる空はなんとも気味の悪い色をしていて、地面に広がる血の色を映しているような感じで。
少し目線をずらせば同じく血の色みたいな球体の中に赤子が眠っているのが確認できる。
すごいでかい赤ちゃんだな、とかちゃんとへその緒ついてるんだなとかどうでもいいことばかり頭に浮かんできて、まだ俺、こんなこと考えられる余裕、あるんだと、一人、自嘲の笑みをルドガーは浮かべた。


「…自分の立場は分かっているのか?」

黒くて長い髪の大男が倒れているルドガーを覗きこむ。

「………あ ぁ 、 わ か っ て る 」


声を上げると喉から変な音が聞こえた。
ひゅーひゅー言ってる。
死ぬ間際って息もしづらくなるものなのか

「ならば、なぜ、そんな穏やかな表情をしている」


大男が一歩踏み出すと、ぱしゃん、と血が数滴、顔に飛んだ。


「…さぁ、わからない」


かかってきた血が頬から伝って下に流れる。もともと自分の血の臭いがきつかったのに、更にきつくなって瞬きした。


「もう、死ぬのか」


長い刃先がルドガーの首に当てられ、鋭く光る赤い眼光に息を呑む。
刃が光を帯びていく

あと数ミリ、突き出せばこの刀は首を貫くだろう。
それはきっと完全な死。

でもアーストのことだから、仲間の誼でひとおもいに刺し殺してくれるかもしれない。
そうだったらいいなぁ、なんて考えてる場合じゃなかった。


「抵、抗する……っ、て言った、…ら?」

「殺す」


刀が動く気配。
それより前に左下の手元にあった銃ですばやくガイアスに向かって撃つ。


ガイアスはいち早くこれを察知し、後退する。


自由になった首を手でさすり、所々体が痛むのを抑えて半ば強引に上体を起こした。

「まだ、動けるのか」


返事のかわりに銃をガイアスに狙い定める。
「そんなんで俺のことを殺せるのか?」

「あぁ、殺せる!」


銃をそのままに、辛うじて動く両足を片足ずつゆっくり地に立たせる。
ズボンにべったりと付く血を不快に思い、眉を寄せる。


額の傷口から血が頬を伝って顎から下にポタポタ落ちて、みずたまりのできた赤に赤が足される。


ズキズキっと頭が痛むのをこらえて、前を見据えて、もう一度銃の焦点を定めた。








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