乱闘
□熱烈なものを頼む アイマル
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『熱烈なものを頂戴』
「…疲れた」
額に巻いたバンダナが乱闘での汗で、ベタベタとおでこに張り付く様に顔をしかめる1人の蒼。
立て続けで闘ったチーム戦の乱闘が終わり、やっと部屋で落ち着けると思い、首に巻いていた赤色のマントを片手に自室のドアノブを回す。
開いた途端、人の気配が近くに感じ、暗い部屋のなか目をこらしてみると目の前にはもう1人の青が装備を完全に解いた軽い服装で立っていた。
あまりの近さに顔があって少し驚いたものの、二人とも同じこの部屋の住人。
キスしそうな距離だとしても、大して気持ちが揺らぐわけでもないので、当たり前のように振る舞い、ひとつ青に挨拶程度の声をかけ、扉に向き直ってドアノブを握った、はずだった。
すぐに感じた、左方の手の平に柔らかい感触。
視線を下にずらすと、腕から淡い色をした服がチラつく。
手は指と指がしっかりと握られ、何故か恋人繋ぎ。
誘っているのか、と思ってしまう。
しかし、すぐに いけないいけないとイカレた考えを持ち直し、少し高ぶってしまった熱を落ち着かせ、しっかり握られている指を解こうと、手のひらを握ったり開いたりと試みる。
だが解かれず、
むしろ先程より握ってる力が強まってる気がしてならない。
暑さで汗が滲んだ額をもう片方の手で拭う。
暑さの中、1人真剣に考える。
何故よりによって今日、こんな暑い日に積極的なのだろうか。
もっと涼しい日に誘って欲しいと俺は思う。
半ば指を解くのに諦めていた中、マルスが静かに指を解放してくれた。
、無理やり体を半回転させ、ドアに背を向ける
「…急にどうした」