アヤカシ

□相方
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『…ならば、頑張るしかあるまいな。』

男は薬売りの背後にまわり、その背中によりかかるようにして身を預ける。

「…重いですよ」
そっと吐く悪態。
その後も、背中にあたる帯が痛いなど、さまざまな文句が飛んできたが、男は全て無視した。薬売りも観念したのか、溜め息を一つこぼし、男の背に寄っかかった。


天を仰げば、白い世界だけがどこまでも続いていく。

そこにいるのは、白と、二人ぼっち。




『…今度は傷一つ、つけないように…守る。』
男はひとり、呟く。



「………これだから、あなたと仕事するのも悪くない、と思ってしまうのです、よ」
薬売りは男に聞こえるか、聞こえないかくらいの音で呟く。



なにもない天は、きっと何も映さないだろうと、密かに微笑む。

end
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