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□これが俺達の年越しー蘭拓編ー
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後一時間で十二時、年明けだ。
早く神童の家に行かなくては、と少し急ぎ足になる。
ようやくたどり着いて、ばかでかい神童の家のインターホンを押す。
「はい。」
「霧野です。」
「はい、おぼっちゃまならもうじき門に着くはずですのでもう少しお待ちください。」
「ありがとうございます。」
「すまない、霧野。待たせたか?」
「いいや。今来たとこ。」
「人が多くなる前に行こうか。」
「ああ。」
十二月の寒い、しん、とした夜。
ちょっと声を出すだけで、壊れてしまいそうな妙な緊張感。
服の裾がつかまれる。
きっと神童がこの沈黙に耐えられなくなったんだろう。
そっと裾から神童の手を外して、その手を握る。
「なっ!」
神童の顔を見て笑うと顔が一気に真っ赤になった。
かわいいな。
そのままゆっくり歩いていると、神社に着いた。
「やっぱり人が多いな。もっと早く来るべきだったか?」
「早く来すぎても、寒いだけだろ。これくらいでいいんじゃないか?」
「それにしては人が多いよな。」
「ああ、サッカー部のメンバーもどっかにいそうだな。」
「まあ、邪魔されないように、早くお参りを済ませて帰ろうか。」
「なんでだ?別に急がなくてもいいだろ?」
「だってさ、オレはこれ以上待てないから。」
「何を?」
その時オレは、神童の顔に、顔を近づけた。