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□SSG48シリーズ
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【Mayonner 〜土方Ver.〜】
<In your position set!>
尋常じゃない仕事量。
ストレス、睡眠不足、心労は絶えず。
覚悟はできていた。
どこで死んだって、悔いはない。
いつだって俺は、俺のしたいようにしてきた。
近藤さんの元で真選組を立ち上げて、仲間も増え、不条理な世の中に立ち向かう。
そんな俺を陰ながら支えてくれるのは、煙草と志と、麻薬のような、黄色いアイツ。
<昨日までの賞味期限 腐ってたら荷物なだけ>
決して、切らしてはならないクスリ。
「あ、副長。俺これからあんパン買いに大江戸スーパーまで行くんですけど、何か買います?」
「山崎、お前今夜張り込みだったな。悪ィが、業務用マ…」
「業務用マヨネーズって1リットルのアレですよね、そんな重いもの、」
「…買ってきてくれるよなァ?」
「…こういうの何て言うか知ってます?職権乱用って言うんですよ。」
山崎は涙目になって喜んでいる。
マヨネーズは高尚な食べ物だからだろう。
<マヨはいつも買いだめして 犬のエサも残さないよ>
「土方さんは、カツ丼も犬のエサにしちまいやすから。」
「うっせぇ。総悟、テメェも大人になりたいなら食えるようになっとけ。」
そう言って、丼を差し出せば、
「大人っつーか、成人病の予備軍でさァ。」
瞬殺かつ黙殺され。
<新しいマヨを探そう 低カロリー意味あるの?>
巣田場のコーヒーを注文するときに、さりげなく。
「あー、コーヒーのトールサイズ、マヨ多めで。」
「…すみませんお客様、何を多めで?」
「マヨ多めで。」
「…は?」
「だからマヨネーズだって。低脂肪乳があるんだから、カロリー半分のマヨとかあんだろ?」
時代の最先端を意識してみたりして。
<赤い蓋開けたらほら 土方スペシャル>
刀を抜けば、冷酷無慈悲。
容姿は女に困らない程度。
仕事は激務、上司や部下ともそれなりにうまくいっていて。
一端の男としては、合格点だろう。
なのに、何故。
メシの時だけは、一人なのか。
<俺らはマヨかけるか?未来を信じているか? 怖いもの知らず 身の程知らず 味覚障害で>
「この扉の向こうに、浪士達がいる。一人残らず、確保しろ。」
現場では隙を見せず。
<そう 俺らは生きているか?マヨを無駄にしてないか?>
日々のささやかな幸せを、あの黄色に求めるのだ。
<脈を打つ鼓動は 高血圧>
「御用改めである、」
俺は、強い。
<change change change change change the world,change change the world>
それは、護るべきものがあるからで。
支えてくれるのは煙草と志、惚れた女であるテメェと、大量のマヨネーズ。
テメェに差し出した手は、返り血とマヨネーズで汚れちまってるが、それでも俺の手を取ってくれるだろ?
<鬼の副長もとい Mayonner>
世界は、素知らぬ顔をして巡る。
俺は、今日も疲れた身体に鞭打って立ち上がる。
この命、このマヨ、無駄にはしない。
<雨は止んだ 風は止んだ 見たこともないコレステロール値>
命尽きる、その日まで。
何があっても、テメェとマヨを、愛し続ける。
<今が時だ 俺は生まれ変わったMayonner>
〜Fin〜