アゲハ蝶

□Runaway
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(逃げるなら、今のうち)









夕方、太陽が綺麗な赤になって西に沈んでいく。

まだ風は熱を帯びていて、空気を裂くように原付で走り抜けて。







ふと横を見れば、一か月前に沖田さんと乗り込んだ船の停留所が視界に入る。



あのときは必死で、自分がどんなことをしているのかきちんと考えていなかったけれど。

きっと、物凄く真剣に、痛くて怖いことをしてたような気がする。

後になれば痛いとか怖いとか思えるのに、どうして戦っているときはそう思わないんだろう。





そう思えないことが、悲しくて。

銀さんの腰を、きゅっと捕まえてしがみつく。





「…どーした?」



「…銀さんを捕まえたくなった」



ぽつりとそう答えたけど、原付のエンジン音にかき消されてしまったような気がした。





二人乗りをしているとき、銀さんは背中で自分の気配を伺ってくれる。

その優しさに、つい甘えたくなってしまうのはいけないことなんだろうと感じながら。





銀さんは、自分のことをあまり聞きたがらない。










それは、どことなく土方さんと似ていて。










(それって、罪じゃない?)

何が?





(似てる、とか)









       
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