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宮地が図書館で黒子と、(不本意だが花宮とも)会ってから何日かの時間が流れた。だからといって宮地の日常にたいした変化があるわけでもなく、日々はバスケに消費されていく。
そんなある日。参考書を買いに出向いた本屋にて、嬉しい出会いがあった。

「黒子!」
「宮地さん」

柄にもなく声がはねる。正直もう一度黒子と会いたい、あわよくば2人きりで、と思っていた宮地にとって、この再会は嬉しすぎるものだった。

「この前はありがとな。今日は1人なのか?」
「あ…えと、」
「そうだ、この後マジバ行かねえか?お礼もまだだったし、おごるぜ」
「は、はい。それは嬉しいんですけど、その」

その黒子の少しおぼつく態度に、宮地ははっとする。嬉しいあまり、自分だけ喋ってしまっていた。普段口数が多い方でもないのに、これでは高尾の様ではないか、と反省する。

「わ、悪い。もしかして本選ぶの邪魔しちまったか?勝手に喋って悪かった」
「あ、いえ!違うんです」
「へ?」
「その…僕、影薄いんですけど」
「ああ、知ってる」

それにより、自身のチームは試合の時かなり手こずらされた。
首をかしげる宮地に、黒子は若干頬を赤くして言った。

「……こうやって、待ち合わせとかじゃなくて、1人でふらっとしてる時、誰かが見つけてくれたこと、初めてなんです。あ、すいません。勝手にうれしがって。気持ち悪いですよね…」

それでも落ち着かないのか、黒子は自分の手を重ねたり、どこかそわそわしている。そんな黒子のいじらしさに、宮地の心は完全にホールドされた。
え、ちょ、何だこの可愛い生き物。
しばしの間その可愛さのあまりフリーズしていると、黒子が怪訝そうな顔で宮地の顔を見つめ直した。
うわ、上目遣いすっげえ可愛い。

「あの、マジバだけといわず、これからちょっと、僕に付き合ってくれませんか?」

控えめに要求する黒子に、宮地は首を縦に振る以外の選択肢は思い浮かばなかった。
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