樹威 夢

□*樹威のお嫁さん
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「はぁっ…はぁッ…」


肩で息をしながら私は今、全力で階段を下ってる。

私はラオウ。女だけど最近売れ始めているヴィジュアル系バンドにいて、そのメンバーだ。


今はその事務所で打ち合わせの帰り道。


今日は打ち合わせの後、事務所ビルの前で待ち合わせがあった。



階段を下ってロビーに出る。

裏口からビルの外に出て、街ゆく東京の人並みの流れを目で追った。

これから会おうとしている人物を探すが見当たらない。


高鳴る胸を落ち着かせ、ビルの壁に寄りかかりながら空を見上げてみる。

都心にある事務所の高いビルが空を突き刺している。。

腕時計の時間を確認してみると15:00。


「遅いよーラオウ」

「あれ、いたんだ!ごめんね樹威…打ち合わせが長びいちゃって…」


今は夏の真っ盛り。樹威は事務所ビルの陰にいて私を待っててくれたらしい。

薄着だけどシックなグレーのシャツ、細い足を見せてるジーンズ。うっとおしそうに前髪をかきあげながら近寄ってくる。気だるそうな表情はしているが目は笑っている。


「今日どうする?とりあえずもう夕方前だし早めの夕食食べたいね」

そう言って樹威が人目を避ける様に目配せしながらさりげなく手を握ってくれる。
 

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