青の祓魔師 CP
□まだ真っ白なままの僕の世界へ
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それは少し肌寒い日の夕方のこと。
まだあたたかいコーヒー缶を持って、雪男は俯いた。
(情けない・・・・・・)
自分が燐を幸せにすることはできない。
それはある意味当然のことで、元より分かっていたことだ。
雪男は燐の弟だから、血の繋がりがあるとは言えども、一生一緒にいることはできない。
そばにいることはできても、寄り添うことはできない。
第一、誰にも言っていないが雪男にも好きな相手はいたし、燐だってそういう相手ができるのは当たり前だ。
その上、雪男は既に祓魔師。
ある意味真っ先に燐を害する役割を持っているのだ。
燐が幸せになれる相手がいるのなら喜んで任せよう、とは思っていたが。
(志摩君だったなんて・・・・・・)
ショックに思っているのは、兄が男を好きになったことか、それとも相手が志摩だったことか。
それとも両方か。
(両方…なんだろうな・・・・・・)
こういう時、自分の心すら満足に把握できない。
そんな自分が不甲斐ない。
はあ、とため息をつくとそれは真っ白に染まって視界を遮る。
そんな当たり前のことすらなぜだか自分を落ち込ませる。
さすがにこのまま寮に帰ることはできない。
この調子で行けば、燐に心配されることうけあいだ。
冴えないままの頭でこれからどうしようか、とぼんやりしていると横合いから聞き慣れた声がかかった。