むやみに

□こんにちはお兄ちゃん
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ああ、ついに。

わたしが言うのも変だけど、ウチのお兄ちゃんみたいな人は希少価値だ。芸能人顔負けのルックスだし、勉強だってできるし、マメだし、何より優しいし。
それ故モテるのは当然の話で。
昔からお兄ちゃんに想いを寄せてる近所の沙紀ちゃん、
小学校の頃隣の席だった千尋ちゃん、
中学の同級生の橘さん、
霧島さん、
田中さん、
一個上の丹沢先輩。
毎年バレンタインに「本命」チョコばっかり貰って来ちゃって、返事に相当困ってたのは記憶に新しい。…だって今年もやってたし。

その度にお兄ちゃんはわたしを頼りにしてくる。
正直に言って、ひどく優越感に浸っていた。
親しみも憧れも恋情みたいなものも、全部お兄ちゃんに捧げていた。それに疑問を感じたことは無かったし、嫌になったことも無かった。当たり前、だったから。



今日までは、それでちっとも問題無かったんだけど。
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