むやみに
□あのね
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あのね。
わたしは特別可愛いわけじゃない。そんなの随分前から知ってるし、ついでに言うと、勉強だって出来ない。
でも君と仲良くなれるって、確信してるんだ。
あんたは分かりやすいねーって親友の美紀には言われるけど、あのこは知らないのよ。わたし、君にバレるようにやってるんだから。目が合ったら赤くなってみたり、話し掛けられたら驚いてみたり。男って、そうそうの弱いんでしょ?
だからほんとは、わたし君が思うほどピュアじゃないの。勉強出来ないけどね、可愛い「おばか」じゃないの。ごめんね、ずっと騙してて。
それとも最初から気づいてたかな?
そしたらお互い様だと思って許してね。
わたしも君の笑顔好きだよ。男子といるときにはしない、その良い人ぶってる笑顔、ちゃんと知ってる。でも愛されてるって心地いいからさ、もう戻れないよ、君もわたしも。
あのね、わたしね。
君が好きになったのが嘘のわたしなら、ほんとのわたしなんか要らないの。