短編

□再会後の情事
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「おじゃまします」




俺の部屋に入る加藤。



物珍しそうに、部屋の中を物色している。




とりあえず飲むものを、と
適当にビールを加藤へ投げた。




「ありがとう、いただきます」





加藤がプシッとタブを起こすと、



中身がぶしゃっと溢れた。





「あっヤバい!
ちょ、計ちゃんティッシュ頂戴!」




「あ…悪い、
さっき投げちまったな。


タオルやるよ」





洗面所にある、大きめのタオルを引っつかみ

加藤へぽんっと投げた。




「あー…カーペット汚しちゃった…。
これ取れないよね…。


計ちゃんごめん、弁償するよ。
いくら?」





床を拭きながら、
申し訳なさそうにうなだれる加藤。




「いいよそんなの。


それより、お前びしゃびしゃだろ…。
シャワー浴びてこいよ」




俺はほら、と顎で指すと
加藤はタオルを持って笑った。



「ありがとう。
ごめんね計ちゃん」




加藤はくるりと背を向けて、
小走りに風呂場へ向かう。




俺はカーペットを軽く拭いた後、
ドライヤーで乾かしておいた。




「…加藤、服洗っておくから」



「えー?いいよ、
俺、今それしかないから」



「なら泊まってけよ。
服ならデカイのあるから貸してやる。


ゆっくり話がしたかったんだ」



「ふふっ、そうなの?
じゃあそうしようかな。
弟には連絡しておくよ」




ドア越しの会話。


俺は加藤のシルエットを見つめた。




しなやかで透き通るように白いのが、
曇ったガラスに阻まれてさえ感じ取れる。




思わず生唾を飲み込んだ。




「あー、上がったら言えよ。


メシ何がいい?
なんか買ってくる」




「…ふふっ、計ちゃん。
壁一枚挟んで言うこと?

…俺は何でも食えるし
計ちゃん好きなもの買ってきなよ。

俺待ってるから」





加藤は、身体を流しながらふっと笑ったのが
ガラス越しに見えた。



俺はその姿に欲情し、
股間が張り詰めてくる。




それから逃れるようにそっと玄関を出て、
コンビニまでの道を歩いた。




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