BOOK

□WINE & ROSES
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「これは、なんですか?」
「あ…やっぱ違う?」
表情を失って固まってしまったバーナビーを見て、虎徹は頬を掻いた。
部屋には一面の赤いバラ。
だから違うって言ったんだ。
ファイヤーエンブレムめ。
とんだ赤っ恥だ。
虎徹はぶつぶつと口の中で文句を垂れた。

出会って二回目のバーナビーの誕生日。
今年は二人きりで過ごしたい。
そう言った恋人の願いを叶えるため、虎徹は奮発して高級ホテルに部屋を取った。
去年があまりにもぐだぐだだったので、今年こそ喜ばれるサプライズを、と虎徹はファイヤーエンブレムに相談した。
ファイヤーエンブレムだけが二人の関係に気づいていると虎徹は思っていたからだ。

「やっぱり部屋一杯のバラと美味しいお酒よねェ〜」
体をくねらせて、ファイヤーエンブレムはうっとりと言った。
「いや、そりゃないだろ。相手はあのバーナビーだぞ。女じゃないんだし」
納得がいかない顔で、虎徹は反論した。
虎徹の知る限り、バーナビーは合理的でないものを嫌う。
部屋に余分な飾りはないし、行動にも無駄がない。
虎徹と恋人同士になってからは、その傾向は少しずつ弱まっているけれど。



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