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□悪夢[
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目を覚ますと、俺は病院のベッドに寝かされていた。
白い天井が眩しくて、俺は思わず目を細める。
「…虎徹さん!」
ベッド脇の椅子に座り、バニーが心配そうに俺の顔を覗き込んでいた。
心なしか緑色の瞳が潤んでいる。
「…どこか痛みますか?」
「ん…頭、痛い」
二日酔いのように頭がガンガンと痛み、思考が霞んでいた。
体は重くてあちこち痛い。
手足を動かすのも億劫だ。
バニーは両手で優しく俺の手を包んだ。
「心配したんですよ。一週間も音信不通になったかと思えば、火災現場に倒れていたり。一体何があったんですか?」
「…?」
一週間。
そんなに長かったのか。
いや、そんなに短かったのか。
日の射さない灰色の部屋で狂った時間。
胃の奥から吐き気が込み上げた。
「悪い…。ちょっと独りにしてくれ」
俺はバニーの掌からそっと自分の手を退いた。
「まだ、眠くってな」
相棒を心配させないように、できるだけ明るく笑う。
「…分かりました。でも、何かあったら直ぐに僕を呼んで下さいね」
バニーは納得できない様子で、何度もこちらを振り返りながら病室を出て行った。
俺は右手をひらひらと振り、笑顔でバニーを送り出す。
ドアが閉まった途端、俺は病室内のトイレに駆け込んだ。



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