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□悪夢U
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次の日、ボクは学校が終わるとすぐにユーリさんの家に向かった。
ユーリさんはまた、笑顔でボクを迎えてくれた。
「準備はもう出来ています。今日は彼の目隠しを外しても良いですよ。私は隣の部屋で見ていてあげますから」
ユーリさんに認めてもらえた気がして、ボクはとても嬉しくなった。

書斎のドアを開けると、前日とほぼ同じ姿で、ワイルドタイガー姿の男は床に転がっていた。
今日も小刻みに震えている。
ボクはユーリさんに言われた通り、ワイルドタイガーの目元のガムテープを引き剥がした。
眉毛と睫毛が少し抜けたけれど、痛がってはいなかった。
麻薬のせいなのかも知れない。
ワイルドタイガーの瞳は、高価なウイスキーのような、印象的な茶色をしていた。
目元に細かい笑い皺がある。
想像していたよりもオジサンだったけれど、本物みたいでリアルだな、ともボクは思った。

ワイルドタイガーはとろりとした目つきで、億劫そうにボクを見上げた。
そして、驚いた表情になった。
ユーリさんが相手だと、ワイルドタイガーは思っていたのだろうか。
いくらマゾヒスティックな趣味があっても、初対面の若造相手はご免という事なのだろうか。
ボクの中の残虐性が、ゆっくりと鎌首をもたげ始めた。



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