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□楽園T
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あの日。
薄情なほどに空は青く澄みきっていて、私だけが世界から切り離された。
かつては父だった屍の隣で、私は震えながら電話をかけた。
母は泣き叫び、まともに会話すら出来なかった。
間もなくやってきたスーツの男たちは、私の言葉には一切耳を貸さず、車庫にあったガソリン缶と酒瓶を写真に収めた。
父の死は『事故』と断定され、私は罪を償う権利を失った。
強大な力を持て余し、怯える私に寄り添ってくれる者は、誰一人いなかった。
父の職業は伏せたまま、葬儀はひっそりと行われた。
それでも、無遠慮で冷たい好奇の視線は、充分すぎるほど私たち母子を削った。
私の心はいつしか、鋭く細い刃の形に変わっていた。
それ以来、私は死の化身となった。
血のように赤い月が私を誘う。
罪人ヲ許シテハナラナイ。
分かっている。
何人タリトモ、裁キカラ逃レル事ハ出来ナイ。
分かっているとも。
「…ユーリ?おい、大丈夫か?」
揺り動かされ、私は目を覚ました。
呼吸が乱れ、冷や汗が全身を濡らしていた。
虎徹が私の顔を心配そうに覗き込む。
揺れる瞳を安心させるため、私は微笑み、彼の頬に口づけた。
「大丈夫。少し夢見が悪かっただけです」
「すげぇうなされてたけど、どんな夢だったんだ?」
「虎徹を…裏切る夢でした」
笑顔のまま返答する。
「んぁ?」
彼は不思議そうに首を傾げる。
私は彼を強く抱きしめた。
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