紅蓮の優姫

□私の居場所
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「ほう。では臣緒はここ戦国の人間ではないと?」


『は、はい』


今、私は佐助に連れられ、武田信玄に会ってます。


(流石は甲斐の虎!威厳たっぷり…)


「そう堅くならんでも良い!!なんとも興味深い話じゃ!儂は臣緒を気に入ったぞ佐助!!」


「じゃあ!!」


「うむ。臣緒よ、ここをそなたの家として過ごすが良い!」


『ぁ…ありがとうございます!!』


「お館様ぁあ!!」


するとナイスタイミングとばかり、襖が凄い勢いで開いた。


「おぉ、幸村ぁ!臣緒は上田城に住むことになった。世話してやるとよい!」


「真ですか?!か、歓迎しますぞ!」


そう言って幸村も喜んでくれた。目線は逸らしてたけど…


「そこでじゃ臣緒。そなたを儂の娘…養子として引き入れたいのだが…どうじゃ?」


この言葉に私は勿論、幸村と佐助も驚いた。


『…はい…?娘?そんな滅相も無い!!折角の申し出ですが、お受けする事は出来ません!』


「遠慮する事は無い!儂も臣緒を娘として側に置きたいのじゃ!」


「…それってつまり大将の我が儘?」



ポソリと佐助が呟いたのが聞こえた。


『私は…武田の姫としてでは無く、武田の一武将としてここに居たいのです!』


「なんと!」

あの舞扇の事を思い出す。
あれはきっと、私に与えられた力だと思う。
この世界で生きていく為の…


強くなる…
そして、誰かを守る為の…


「ワッハハ!やはり面白い!あい分かった、臣緒を養子にするのは諦めよう」


『…申し訳ありません…』


「良い良い。佐助の言う通り、あれは儂の我が儘よ」


聞こえてたんだ…佐助がまた呟いた気がした。


「但し…儂は臣緒を娘のように思いたい」


(まだ言うか…)


「だから…そなたも何かあれば儂に頼ると良い!」

お館様は私の方まで来て、頭を撫でてくれた。


『ありがとうございます…』


涙が出た。今までの不安が一気に吹き飛んだようだった。


「あぁ!大将ってば泣かせたぁ!」


「どどどうなされた臣緒殿!!」


「慌てるで無い幸村ぁあああ!」


「ゴフゥフ!」


『あはは…!』


武田軍はやっぱり暖かい場所でした…


それが私の新しい家族です。


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