紅蓮の優姫
□私の居場所
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意識が戻ると、見えたのは天井だった。
『ここはどこ…?』
(思い出せ……確か…BASARAの世界にトリップしたと思ったら、みっちー…光秀の所に落ちた。で、何故か追いかけられて……………
その後から記憶が無い!!)
『ま、まさか…ここって光秀の所だったりして…?』
一気に血の気が引いた気がした。バッと起き上がり、枕元にあった自分の鞄を手にその場を後にしようとした。
「何処行くの?」
それは天井からぶら下がっている者に邪魔された。
「俺様ビックリしたよ〜。任務から帰る途中に、あの明智光秀に追いかけられてる女の子がいたんだもん!」
思わず助けちゃったよー、なんてヘラヘラしながら床に降りて来たソイツ。
『さ…佐助ぇえ!?』
思わず叫んでしまった。すると佐助は、さっきまでのヘラヘラした笑いが嘘かのように、周りに殺気渦巻いた笑顔になった。
「ねぇ、何者?」
(デジャブ!?)
いつの間か武器を手にした佐助が、ジリジリと私に詰め寄る。
『待って下さい!話だけでも聞いて下さいよ!!』
両手を挙げ無抵抗な事を表すと、佐助は武器を降ろした。
『実は、私はこの世界の人間ではありません、別の世界から来ました』
「別の世界って言うのは?」
『…未來と言っても過言ではありません。しかし、完全な未來ではありませんが…』
(ここはゲームの世界だもんね。天下人は誰になるかは分からないし…)
未だに怖い顔をしたまま押し黙る佐助。
「ねぇ……」
その佐助がようやく口を開いた。
(抹殺される?!)
「名前は?」
やっと喋ったかと思うと、その一言。正直拍子抜けである。
『ぁ…申し遅れました。私、綾瀬臣緒と申します。』
「そ、じゃあ臣緒ちゃん。……疑って悪かったね!」
『…は?』
ポカンとする私。
「あはは〜。何この子、可愛いー」
そして何故か抱き付かれた。
『…(ハッ!)ななな何するんですか?!』
「ごめんごめん。敵じゃ無いなんて最初から分かってたよ!俺様、これでも優秀な忍だからさ。でも一応仕事上そうしなきゃいけないから!」
(私はその一応で死ぬ思いでしたよ…)
「さて、臣緒ちゃんはこの世界に住む所無いんだよね?」
『はぁ…』
「じゃあ大将に会いに行こうか!」
『どうして?』
「大将がなんとかしてくれるかも知れないじゃん?」
ねっ、と最初に会った時と同じ笑顔を向けられた。
(オカン…!!)
「早速行こうか」
部屋を出て廊下へ歩みを進める。しかし、後ろから地響きが聞こえて来た。
「すぅあぁすぅけぇえ!!」
(この叫び声は!!)
「客人は目を覚まされたか?!」
(やっぱり幸村だ!)
「旦那の事忘れてた!」
長い廊下をここまで爆走して来たのは…
「某、真田幸村と申す!そなたの…」
何故か不自然に途切れたセリフ。
『あの…?』
彼の視線はスカート。
(まさか…)
「破廉恥ッ!!そ、そのような格好破廉恥で御座るぅぅああ!」
叫びながら、さっき来た道をまた爆走しながら戻って行った。
「旦那ぁ!大将の所に居るからねー!」
佐助が隣りで叫ぶのを聞きながら。
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