紅蓮の優姫
□思いがけぬ出会い
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『…理由はどうあれ、まずは運ばないと』
此処ではまともな治療は出来ないし、何より今私は扇を持っていない。
彼の腕を自分の肩にかけ、引きずる様に抱え城への道を戻った。
『佐助ぇえええ!』
城に着くや否や、私は佐助に助けを求めた。
すると、やはり佐助はものの数秒で目の前に現れてくれた。
「臣緒ちゃん!!心配したんだよ?鍛錬してたと思ったら急にいな………………どうしたの、それ」
佐助は私が抱えている人物に気がつくと、周りの空気を変えた。
『えっと…………森で拾った』
「犬猫じゃないんだから、そんなの拾って来ないで!!!元居た場所に戻してらっしゃい!!」
まさにオカンな台詞を真顔で言い放った佐助は、間抜けな筈なのに何処か迫力があった。
『でも佐助……半兵衛ね、血を吐いてるの』
「やっぱり、臣緒ちゃんそれが誰だか分かっていて連れて来たんだ…」
佐助の目がとても冷たい…
自分達以外は敵。これが戦国乱世なのだと、改めて思い知らされた。
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