紅蓮の優姫

□思いがけぬ出会い
2ページ/9ページ


『…理由はどうあれ、まずは運ばないと』





此処ではまともな治療は出来ないし、何より今私は扇を持っていない。






彼の腕を自分の肩にかけ、引きずる様に抱え城への道を戻った。


































『佐助ぇえええ!』




城に着くや否や、私は佐助に助けを求めた。




すると、やはり佐助はものの数秒で目の前に現れてくれた。





「臣緒ちゃん!!心配したんだよ?鍛錬してたと思ったら急にいな………………どうしたの、それ」





佐助は私が抱えている人物に気がつくと、周りの空気を変えた。





『えっと…………森で拾った』





「犬猫じゃないんだから、そんなの拾って来ないで!!!元居た場所に戻してらっしゃい!!」





まさにオカンな台詞を真顔で言い放った佐助は、間抜けな筈なのに何処か迫力があった。





『でも佐助……半兵衛ね、血を吐いてるの』





「やっぱり、臣緒ちゃんそれが誰だか分かっていて連れて来たんだ…」




佐助の目がとても冷たい…




自分達以外は敵。これが戦国乱世なのだと、改めて思い知らされた。





.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ