紅蓮の優姫
□君がため
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此所、躑躅ヶ崎館の一室には先ほどから妙な空気が漂っていた。
原因のほとんどはコイツの存在自体だけど…
部屋には信玄を前に、先程攻め入って来た明智光秀が居る。
そして光秀の後ろには幸村と佐助が控えて座っていた。
「ククク…あぁ愉しい…貴方達のその怯える表情…実に美味しそうだ」
(狂ってるぜ…良かったね臣緒ちゃん。コイツに捕まらなくて…)
旦那なんか、明智から出る黒い何かに震え縮こまっている。
「む…では話しを纏めよう。臣緒をさらったのはお主だが、毛利に連れ去られた可能性があると言いたいのだな?」
「えぇ、そうです。私の部下の言い分が、真実であれば…ですがね」
「では何故お主は甲斐へ来たのじゃ。それならば中国へ向かった筈ではないか?」
すると光秀は、再び喉で笑った。
「いえ…折角臣緒の居所が分かったので、そこと同盟でも組もうかと思いましてね」
これには全員驚いた。
「光秀殿!!貴殿は信長殿の家臣では無いのか?!」
隣りの旦那が真っ先に食いついた。
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