紅蓮の優姫
□おかえり姫君
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「臣緒、楽しかったぜ!!」
『成実さん!』
政宗と小十郎さんと一緒に馬の用意された門前に行くと、伊達軍勢揃いでお見送りしてくれた。
「臣緒ちゃん、また来てくれよ!!」
「元気でなぁ!!!」
『皆さん、お世話になりました!!!』
頭を下げると、誰かの手が頭に乗った感触がした。
「臣緒、頑張れよ」
『小十郎さん…ありがとうございました』
「Honey…やっぱり奥州に残らないか?」
『政宗…私はお館様に仕えるって決めたから』
奥州と甲斐、決して遠くはないのだから会おうとすれば会える。
しかし、こういう雰囲気には弱く目頭が熱くなる。
「どうしても…か?」
こちらに迫る政宗に、危険を感じ少しずつ後ろに下がる。
目で小十郎さんに助けを求めるが、顔を背けられた。
トンッ……
やがて近くにあった木へと追いやられる形になった。
見送りに来ていた伊達軍は、総勢で囃立てる。
『ちょ…ま、政宗!!』
両手で政宗を押し返そうとしてみるが敵わず。
そんなことをしているうちに、段々と政宗の顔が近付いてきた。
(マズいマズい!!)
「はぁ〜い、残念でした」
懐かしい声と共に謎の浮遊感。
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