紅蓮の優姫

□おかえり姫君
3ページ/8ページ


「臣緒、楽しかったぜ!!」




『成実さん!』




政宗と小十郎さんと一緒に馬の用意された門前に行くと、伊達軍勢揃いでお見送りしてくれた。




「臣緒ちゃん、また来てくれよ!!」
「元気でなぁ!!!」




『皆さん、お世話になりました!!!』




頭を下げると、誰かの手が頭に乗った感触がした。




「臣緒、頑張れよ」




『小十郎さん…ありがとうございました』




「Honey…やっぱり奥州に残らないか?」




『政宗…私はお館様に仕えるって決めたから』




奥州と甲斐、決して遠くはないのだから会おうとすれば会える。




しかし、こういう雰囲気には弱く目頭が熱くなる。




「どうしても…か?」




こちらに迫る政宗に、危険を感じ少しずつ後ろに下がる。




目で小十郎さんに助けを求めるが、顔を背けられた。




トンッ……




やがて近くにあった木へと追いやられる形になった。




見送りに来ていた伊達軍は、総勢で囃立てる。




『ちょ…ま、政宗!!』




両手で政宗を押し返そうとしてみるが敵わず。




そんなことをしているうちに、段々と政宗の顔が近付いてきた。




(マズいマズい!!)




「はぁ〜い、残念でした」




懐かしい声と共に謎の浮遊感。




,
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ