紅蓮の優姫

□初陣,小田原城奇襲戦
2ページ/3ページ


『幸、見えた!本陣だよ!』


見えてきた本陣には、当たり前の事ながら北条氏政がいた。それだけなら良かったが……
五本槍がいた。


『なんでここに…?』


「なななんで御座るかあれは?」


『取りあえず降りようか…』


馬から降り、氏政公の側へと近付く。


「貴殿、北条氏政殿とお見受けする!某、真田源二郎幸村と申す!」


『違う違う。幸、それ青の五本槍…』


幸は堂々と槍を構えた…五本槍に向かって。


(何故間違える…?)


「ふぉふぉ!五本槍よ、参るのじゃ!」


「了解「任せな「大将「俺達ゃ「ヨーヘイ」


非常にノリがウザイ……


『武田が一武将、臣緒。いざ参ります!』


北条氏政・五本槍
   VS
  真田幸村・臣緒


(北条氏政って、腰痛持ちのくせして動き速いんだよな〜)


幸と呼吸を合わせながら、氏政殿と五本槍に攻撃を仕掛けた。




「クッ…」


『ハァ…ハァ……』


「何故…首を討ち取らないのじゃ…」


勝ったのは私達。私が氏政殿を援助する五本槍を再起不能にし、幸が氏政殿に止どめをさした。


「…臣緒殿の意向で御座る」


『取りあえず武田軍本陣へ…』


本陣に着くと、お館様と佐助が笑顔で出迎えてくれた。佐助はボロボロだったけど…


「北条殿、武田へ降ってはくれまいか。降ると言えど、領土はそのまま北条殿が納めて構わん。儂は戦の無い世界にしたい、それには早く天下を取る必要があるのじゃ」


「…情けない話じゃが……信玄公のお言葉に甘える事にするわい…」


こうして、北条軍は形式上武田軍の配下となった。


『あ!佐助佐助!傷、治してあげる!力使ってみたかったの!』


もしかして俺様実験台〜?…なんて事を言ってたけど、何処か顔が嬉しそうだった。想いを込め銃を扇へと変えると、佐助へと大きく一振りした。


すると穏やかな風が吹き、佐助の傷が治っていた。なんと服まで。


「わぁお、びっくり!」


無駄に動き回る佐助を見た後、先ほど戦場だった場所へと向かう。


「あれれ?臣緒ちゃん何処行くの?」


『私の最後のお仕事!』


歩く度、ブーツで血を踏む音が聞こえる。
辺りには切り刻まれた肉片。死する者は治せない……息の無いものへの追憶の意を込め目を瞑る、そして……舞った。


痛みに苦しむ人へ、癒しの想いを込め。


臣緒が舞うたび、暖かい風が戦場を包み、敵味方関係無く治療していった。何故なら、臣緒の想いは敵にもあったから。


.
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ