紅蓮の優姫

□脱兎の如く
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何故か、今日は良いことがあると思いましたが…


「使えない部下ですね」


「お許し下さい光秀様!!」


暗殺の一つも出来ないとは、私の部下として使えませんね。


「死になさい」


鎌を振り上げ、首が飛ぶまで後少しだったその時…


『いたたた…』


人が降って来た。
薄い布で作られた、鎧とは程遠いおかしな格好をした少女。


茶色の髪、白い肌、細い足腰。
顔立ちは整っており、目を奪われた。


この少女に魅せられていた。



「もう一度聞きます。何者ですか…?」


『いや…だから、私は只の通り過ぎの者でして…』


「正確には何も無い所から落ちてきましたね」


『う…』



あぁ…久々に苛虐心が駆られますね…


『!!』


ずっとだんまりを続けてたら、私目がけて鎌が降ってきた。


ガッ!!


「!?」


『な…!!』


私は咄嗟に掴んだ2つの何かで、鎌を受け止めた。


「鉄扇…?…いや…これは…」


『舞扇…?』


何故かコレは私の物だと感じた。



益々不思議な少女ですね…私の不意打ちとも言える攻撃を受け止めるとは…


それも武器とは到底思えない舞扇で…


フフ…面白い娘です…


「貴方、お名前は?」


(え、殺す前にせめて名前でも…とかそーいうやつ?!)


『臣緒…です』


「そうですか…」


それだけ言うと鎌を引き、また妖艶な笑みを浮かべ…


「私と共に来なさい、臣緒」


『遠慮します。光秀様と一緒にいたら、命が幾つあっても足りないような気がしますね』


「私の事は光秀と呼びなさい。さぁ行きますよ」


『(聞いちゃいね〜)いぇ…本当に……………無理です!…てか嫌です!』


ジリジリと後ろに下がり、猛ダッシュ。


「おや、鬼ごっこですか?負けませんよ?」


『(リアル鬼ごっこ!!貴方が言うと冗談に聞こえませんッ!!)』


森の中を駆ける二つの影。

「女性にしては体力がありますね。そろそろ疲れて来ませんか?」


『…つ…疲れました!…ハァ…だから追うのは…止めて下さい…!!』


「フフフ…これもまた一興……」


『(名セリフをこんな形で聞くはめになるとはッ!!)……あぁ…もう無理…』


(色々あって疲れたよ…)


倒れると思った瞬間、私の身体が浮いた気がした…



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