紅蓮の優姫

□君がため
1ページ/9ページ


此所、躑躅ヶ崎館の一室には先ほどから妙な空気が漂っていた。





原因のほとんどはコイツの存在自体だけど…




部屋には信玄を前に、先程攻め入って来た明智光秀が居る。




そして光秀の後ろには幸村と佐助が控えて座っていた。




「ククク…あぁ愉しい…貴方達のその怯える表情…実に美味しそうだ」






(狂ってるぜ…良かったね臣緒ちゃん。コイツに捕まらなくて…)




旦那なんか、明智から出る黒い何かに震え縮こまっている。





「む…では話しを纏めよう。臣緒をさらったのはお主だが、毛利に連れ去られた可能性があると言いたいのだな?」





「えぇ、そうです。私の部下の言い分が、真実であれば…ですがね」





「では何故お主は甲斐へ来たのじゃ。それならば中国へ向かった筈ではないか?」





すると光秀は、再び喉で笑った。





「いえ…折角臣緒の居所が分かったので、そこと同盟でも組もうかと思いましてね」





これには全員驚いた。




「光秀殿!!貴殿は信長殿の家臣では無いのか?!」





隣りの旦那が真っ先に食いついた。





,
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ