紅蓮の優姫
□神より授けられし力
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「臣緒、戦じゃ」
朝早くお館様に呼び出され、幸と佐助と共に躑躅ヶ崎館へと足を運んだ。そこで告げられたのは戦の知らせ。
「戦に御座いまするかぁぁあ、お館様ぁぁあぁ!!!」
「旦那静かに!」
『相手方は…』
「北条軍じゃ」
(北条氏政、小田原城か…属性は氷。そして一番厄介なのが、栄光門を守る風魔小太郎…そういや五本槍もいたっけ)
「臣緒よ…戦場へ赴く、血に塗られる覚悟は出来ておるか…?」
(戦場に行くということは、当たり前だが無血というわけにはいかない…でも、それでも…!)
『私は私のやり方でお館様に勝ち戦を捧げる所存でございます』
深々と頭を下げる私に、ふむと一つ返事をしたお館様は立ち上がった。
「今宵、北条を討つ!」
夜になるまで、佐助と鍛錬する事にした。
「臣緒ちゃんの武器って、やっぱりその舞扇?」
取りあえず武器を取り出す。
『うん、こっちに来た時に何故か持ってたの。光秀の鎌受け止めた筈なのに、傷一つ無いや…』
広げてみるが、やはりなんの変哲も無い扇だ。
「へぇ〜…」
二つある扇の一つを佐助に渡し、もう一つは片手で弄りながら開いたり閉じたりする。すると私の持っていた扇は、微かな光を帯びて違う形へと変化した。
『わぁ、私ってばいつ手品なんて使えるようになったんだろ』
私の手にあるのは、扇では無く一丁の銃。
(もしかして…)
「あれ?短筒?臣緒ちゃん、扇はどうしたの?」
呆気に取られる佐助から扇を奪い、先ほどと同じように開閉をする。すると同じ現象が起こり、もう一つの扇も銃に変わった。
「不思議な扇だね…目の前で起きた事なのに信じらんない…」
『私も……じゃあ扇はなんなんだろ?』
その時、声が聞こえた。
─臣緒…臣緒…
『佐助何か言った?』
「いや、何も?」
─臣緒、私の姿は見えませんよ。初めましてでしたね。すぐに出てこれなくて申し訳ありませんでした。
グラリと視界が揺れた気がした後、白い空間に居た。目の前には、中的な女性か男性か分からない人が立っている。
『あ…あの、ここは…?』
「ここは神域、いきなり連れて来て失礼しましたね臣緒」
『神域…?じゃあ、貴方は神様で、私をあの世界に連れて行った方ですか?』
「聡い子だ」
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