ストーリー

□Pattern1

誰よりも速く走りたかった。

そして、少しでも近づきたかった。

あの青い空へ――。










 駆けっこで負けた事はない。なんて事はない。

でもいつからか、はっきりとした記憶はないけれど、小学校の高学年に上がった頃には、僕が運動会の花方であるのは当たり前の事として認識されていた。

僕は速く走れるようになりたくて、毎日、家の近所をぐるぐると、周囲に呆れられる程に駆け回っていたので、当然といえば当然の結果だった。

しかし僕の興味や目的は、運動会ではなく、ましてや体育の成績などでもなく。


ただ、空が飛びたかったのだ。
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