WOLF`S RAIN&Vassalord.

□自慰
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「はっ…ぁ……」

チャーリーはレイフロの意識が途切れると同時に、彼の首筋からキバを抜き唇を離す。
鮮血が白いレイフロの肌を流れ落ちていくのを、チャーリーは食い入るように見つめ、長い舌を出し下に伝う血液を丁寧に全て舐め取った。

「マスター」

少し青白くなったレイフロの姿態を眺め、熱い吐息はレイフロの唇へと辿り着こうとしていた・・・

が、互いの唇が触れるギリギリの所でチャーリーは動きを止める。

意識を失い、開かないレイフロの瞼を間近に見つめチャーリーは眉間に力を籠めた。


立ち上がり、レイフロをベットに残しバスルームへと向かう。


「はあ、何をするつもりだったのか・・・」

――分かっているくせに

――最近は自分の欲求を制御するのに自信が無くなっている…

バスルームに鍵を閉め、服を脱ぎ、早々にシャワーを出す、冷たい水が体に溢れる熱を奪い取ってくれるようにと、避けもせず冷水を浴びる

水が温くなり、暖かいお湯になってもチャーリーの体に宿る熱は一向に冷める気配をみせず、仕方なく溜め息を吐くと熱にそっと手をそえた。

「は…マス、ター」

シャワーの音より小さな声で、愛しい彼の名前を呼ぶ

思い描くは、想い人の滑らかな姿態…笑顔を寄せ、自分だけを映す瞳……息が上がり、自身を慰める手の速度が早くなるにつれ、チャーリーの中で描かれるレイフロは顔を赤く火照らせ、涙を溜め熱の篭もる息を喘ぎと共に吐き出し、妖淫で逞しい体を悩ましげにくねらせチャーリーを誘っていた。


「あ、ああマス、ター…愛し、て…ます、マスター」


迸る白濁とした液体は、どくどくと長い間溢れ出るがかき消すかのようにシャワーから流れるお湯で消えていった。

白い液体がお湯に混ざり合い流れて消え行くさまを冷めた目で見、そのまま慰めていた手を見つめた。


「……はぁ」

重い後悔の念。
今、自分は恥ずべき行為をしてしまったと、背徳に打ちひしがれる。

親であり、マスターである愛しいあの人を思い、自身の慰めに使ってしまった。


「申し訳、ありません。」

懺悔するかのように手を握り締め、神に祈った。

バスルームから出て、体に伝う水分を完全にふき取り、服を着込む
鍵を開け、足は愛しいあの人の所へ・・・




「マスター」

部屋を出る時と変わらないレイフロが其処にいて安堵する。

――申し訳ありません。マスター

彼が寝そべるベットに腰を降ろし、若干血色が戻ってきた顔を優しく撫でる。

――想像とはいえ、美しい貴方をまた汚してしまった・・・嫌われたくは…、もう捨てられたくは無いのに・・・


チャーリーの中で昔の記憶が蘇る、楽しく寂しい…あの記憶。

――私は常に貴方の望む、穢れないチェリー(童貞)で居なくてはいけないのに…


――貴方の唇にさえ触れられはしないのに…貴方を思う熱が、抑えきれなくなってきているんです。…マスター



「ぅん、クリ、ス・・・」

「マスター」


体が火照る…
如何わしい熱では無い
これはもっと心地良い

喜びの…気持ち。
――貴方はいつもそうやって、無自覚にも私を引き付け離そうとしないのですね。それを、こんなにも心地良いとさせるなんて・・・


チャーリーはサイドにずれた毛布をレイフロに掛けウェービーな黒髪に指を潜り込ませ優しく撫ぜる。




「おやすみなさい…マスター」

――私のこの思いは、またも胸の深い奥底へと大切にしまわれてゆく。


END

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