短編小説
□遭難
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……………ザーーー
……………
「置いて行かれたんですか。三成さん」
雨が止まない。
私は大きな木の幹に腰掛け、座ろうともしないで木に寄りかかる三成さんをみて話しかける。
本当綺麗な人だなぁ。
ッピク
「…貴様は自分の意思で山奥まで来たのに帰り道もわからんのか。」
どうやらひねくれた彼は嫌味ととってしまったらしい。そこもまた可愛い。
ッギク
「いや、私は違うよ。そんなんじゃないから。違うからね。三成さんだって道分かんないんだから人の事言えませんよ」
そうだ…私たちは今遭難している。
三成さんに恋してる私にとって、こんなに美味しいことは一生ないだろう。
でも…
(あぁぁ言えないっ!!遠乗りしてテンション上がっちゃって、調子に乗って、山奥を散策していたら落馬して馬に置いていかれた挙句、道が分からないなんてっ絶対言えない!!!)
「ふんっ一緒にするな。私は軍から外れただけだ。」
口を開くと憎まれ口ばかり叩かれ、結局口論。
「わかってます?それもダサいからね。」
とは言いつつも、可愛いなぁ〜なんて考えてる。
私は彼も私の事が好きな事は気づいている。
解りやすい人だからなぁ。
いまだって、私の隣に座るのが照れ臭いんでしょう?
顔が赤いよ〜ップ