ユウヒナ

□第四話『幸せって、そんな簡単なモノじゃないのよ』
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誰かの悲鳴が聴こえた。
すぐに辺りを見てみるも人混みしかない。

気のせいだったのかと思うほど誰も反応していない。
それでも例の襲撃事件を思えば無視出来きないだろう。

「何かこう……デジャヴュるんだけど」

何日か前も似たような事あったな、とか思いながらため息をひとつ。

あの時は魔獣に襲われて、マミ先輩やほむら先輩に助けられた。

今回は何と出会うのだろう。
マミ先輩もほむら先輩も、先程から連絡がつかない。

もし襲撃事件の犯人と出くわしたらどうしよう、とか。
魔獣に遭遇したらヤバイな、とか思う事はいくつかある。

身の安全を考えるなら今すぐここを離れるべきだろうが、気になって仕方がない。
わたし一人が行った所で何が出来る訳でもない。

そんな事は分かっている。

でも、もし怪我をした人が独りで倒れていたとしたら助けられるかも知れない。

「いざとなればわたしが契約すれば……」

自分を奮い立たせようと呟く。
そんなに都合よくキュゥべえが現れるとも限らないが一つの手ではある。
勿論、軽い気持ちで魔法少女になるつもりはないけれど。

「さてさて、鬼が出るか蛇が出るか」

格好つけながら言って悲鳴が聴こえた方へ駆け出した。
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