オハナシ
□ある日の放課後
1ページ/2ページ
一人の少女を巡り二人の少女が火花を散らす。
巴マミは余裕さえ感じさせる雰囲気で、暁美ほむらは不機嫌そうに、お互いをにらみ合う。
鹿目まどかは助けを求め、美樹さやかはまたかと飽きれる。
そんないつもの光景。
しかし、今日ばかりは少し違った。
「話は聞かせて貰ったよっ!」
放課後の教室に場違いなスーツを着た女性が笑顔で乱入してきた。
「何でまどかママがここに!?」
一同の心を代弁してさやかが叫ぶ。
まどかママこと鹿目詢子は親指を立て答える。
「授業参観(自主)だからね」
唖然とする一同を放置して話を進める詢子。
「白黒つけりゃ二人とも文句はないよな」
鞄から『第一回、鹿目まどか★争奪対戦』と書かれた旗を取りだし掲げる。
この母親、ノリノリである。
「あの〜、私の意思は……?」
鹿目まどかが控え目に抗議の声をあげるが誰一人反応しない。
がっくりと項垂れる鹿目まどかを余所に、静かに闘志を燃え上がらせる暁美ほむらと巴マミ。
二人が思う事はただひとつ。
「(これで勝てば母親公認って事に……)」
盛り上がる二人を満足そうに見つめ、対戦内容を発表する詢子。
「勉強は学年が違うから駄目だとして……料理対決でどうだ?」
望むところだ、と意気込む二人に嫌な予感がする鹿目まどかだった。