ユウヒナ

□第十一話『上手くはいかない世界だけれど』
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……はずだった。

すぐ側まで近づいていたほむら先輩の姿が一瞬で消えてしまった。

その代わりと言わんばかりに三本の矢が、わたし目掛けて動き始めていた。
映画のコマが数秒分抜けてしまったような光景に驚きつつ、身を屈めて矢をやり過ごす。

幻術、遅延発射、転移、空間操作、超加速……様々な『魔法』を連想したけれど、どれも違うと思った。

ほむら先輩が今までどの魔法も使っているのを見た事がないのもあるけれど、そんな理由でじゃない。

いつか話してくれた、長い長い戦いの話を思い出していたから。

――やり直したい。

そう願った少女の孤独で報われない物語。

だけどそのオハナシはまだ終わっていない。

だってその少女は今……。

「確か『時間停止』でしたよね、前の力って」

冷笑を浮かべたままのほむら先輩なのだから。
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