□滅べ変態!
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2時間目


「今は昔、竹取の翁といふ者…」


古典は好きだ。
というか物語が好きだ。
夢があって良いと思う。

だってさ、

竹の中から人だよ?
それも小さい。

可愛過ぎるでしょ。


上機嫌で授業を受けてたら、斜め後ろから


「うわ…ご機嫌な名前可愛い…!かぐや姫なんかよりずっと可愛い…!」


…空耳だろう。
というか授業ちゃんと受けなさいよ。





3、4時間目


「今日はバレーボールやるぞー」


…球技は苦手だ…。
ボールが自分に向かって飛んでくるとか怖過ぎる。


「まず、2人1組になってパスの練習ー!」


2人1組?
まずい早く相手…。


「名前、一緒にやりましょう?」

「…はい……」


逃げられなかった…。


「いきますよー」

「へーい」


ポーンと、ボールが弧を描いて私の手に納まる。


「いくよー、って…なしたの?」


投げ返そうと南野を見ると、俯いて右手で顔を覆っていた。


「…南野ー…?」

「…あ、すみません。ちょっと…」

「…何?具合悪い?」


頭でも痛いんだろうか。


「名前に抱き締められるボールが羨ましくて…」

「保健室行って、頭診てもらえ」


心配した私が馬鹿だった。





「おーし、じゃ試合やるぞー!こっちのコートは練習用なー」


…私のチームは試合まだだな。

練習めんどくさ。


「はぁー…」

「ふふ、練習ってやる気出ませんよね」

「ん。めんどくさい」

「俺もそう思うよ。せめて名前の体操服がジャージじゃなくてブル…ぶふっ!」


おっと、手が滑った。


「悪いね。手が滑っちゃった」

「…今の結構痛かったんですけど……でも今の『滑っちゃった』が可愛いので許します」


ここは感謝すれば良いのだろうか…?





昼休み


「嗚呼…俺も卵焼きになって名前に食べられたい…っ!」


もうめんどくさい。
無視しよう。


「あ、そうだ。次の英語の授業、講義室でやるそうですよ」

「ん?」

「なんでも、新しい先生が来るとか」

「ふーん」


新しい先生、ね。






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