□正解はアンタ
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「なー、刃霧って彼女いねーの?」


中休み、いつものように、私とかなちゃんと加藤と佐々木の4人で雑談してると、唐突に加藤が話を変えた。


「…何で?」

「いや、だってお前モテんのに浮いた話聞かねーし」

「そういやそうだね」

「どうなの?かなちゃん」

「…いるよ。一応」

「まじでかー!」

「初耳だね」

「かなちゃん彼女いたんだ…!」


なんか…ショック…。
生まれた時からずっと一緒なのに知らなかったなんて…。


「な、な、いつから付き合ってんの?」

「どんな子?可愛い系?キレイ系?年上のお姉さんだったら僕にも紹介して」

「どっちから告白したの?」

「お前らうるさい」

「だって気になんじゃん!教えろよー!」

「刃霧が女とイチャイチャしてる姿とか…想像できないね」

「ねー、かなちゃん教えてよー」


3人で捲し立てると、眉を寄せて、ため息を吐かれた。


「付き合ったのは10年以上前だよ」


その言葉に私たちは目を丸くした。
まさか、かなちゃんがそんなに長い間一途に彼女を想っていたなんて…


「長っ!つか10年以上って…5〜6歳じゃん!」

「名前、幼なじみでしょ?何か知らないの?」

「え?うーん…志穂は違うでしょー、亜稀もフラれたって言ってたし…んーと…」


唸りながら悩んでいると、鐘が鳴ったので、各々席に戻った。










帰り道、かなちゃんに問い詰めてみた。

家が隣だから、自然と一緒に帰ることになるのだ。


「ねー、彼女の名前はー?」

「黙秘」

「あ、じゃあ、写真とか無いの?」

「見せないよ」


なんて口が硬いんだ…。
別に良いじゃないか。
写真くらい見せてくれたって…。


「もー、気になるなー」

「…名前、覚えてないの?」

「へ?」


覚えてない?
じゃあ、やっぱり知ってる人なんだ。
うーん…
小さい頃の事は、かなちゃんと家の前で暗くなるまで遊んでたことしか覚えてないな…。


「じゃあ、ヒントやるよ」

「ヒント?」

「あぁ、

ヒント1、付き合ったのは10年以上前」

「うん」


それは学校でも聞いたな。
小さい頃、かなちゃんと仲良かったの誰だっけ?


「ヒント2、そいつは俺のことをあだ名で呼ぶ」

「『かなちゃん』って?」

「それは教えない」


んー…『はーちゃん』とか『かな君』とか呼ぶ人いたかも…


「ヒント3、付き合ったきっかけはそのあだ名」

「…んー?駄目だ!わからん!」


そんな個人的な話知らないよ!


「ヒント4、小、中、高、一緒だった」

「あ、わかった!あーちゃんだ!」

「違う」

「えー!じゃあ誰なのさ!そこまで言うんだったら、もう教えてよ」


段々頭の中がぐちゃぐちゃになってきた。
こっちはイライラしてるのに、かなちゃんはニッと楽しそうに笑った。


「じゃあ、最後のヒント。家は隣」

「へ?」


かなちゃん家の右隣は、昔よくお菓子をくれた、おばあちゃんが住んでいる。
左隣は私の家。

ってことは…


「えええええーっ!!」

「わかった?」


いや、そんなまさか














「かなちゃん、熟女好きだったのっ!?」


思わず叫んだら、すごい力でデコピンされた。





正解はアンタ





(名前、そんなに殴られたいの?)
(今デコピンしたじゃん!)
(次間違えたら拳で殴るよ)


END

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