世界で一番君の声が
□やさしい理事長(おじさん)?
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さっきの奥村くんとのことを忘れようと鼻歌を歌いながらお店への道を急ぐ。
…はぁ、楽しみだなぁハニハニ☆シスターズのゲーム。
スチルはどんなのがあるんだろう。
お風呂場で会って、きゃーみたいなありきたりもいいなぁ。
ありきたりにこと真の萌えがあるような気がするんだよね、私は。
ふと気づくとお店についていた。
私たちの間ではいわゆる聖地だ。
結構人が並んでいるけど、うん。
これならフィギュアはもらえそうだ。
良かった。
そんなことを考えながら列の最後尾に並ぶ。
前の人の身長が凄く高い。
二メートルくらいあるんじゃないかな?
それに白いマントをしていた。
……えっと、トンガリ頭の人しかり、世の中には不思議な格好をする人がいるのですね。
あぁ、トンガリ頭の人に会いたいなぁ。
このまま何もしないで並んでるのもつまらないので、鞄の中からゲーム機を取り出す。
これまだ途中だったんだよ。
格闘ゲームなんだけど、今までの格闘ゲームとかストーリーとかコマンドとかが違ってて面白い。
目指すは100%クリアでしょう…!
コレクターなんだからこれくらいはしなくては…!
「…もしもし、そこのお嬢さん☆」
「あーくそ、ここはこっちだったか…。ってかこのコマンド【不動産屋に行く】ってなんだよ意味わかんねぇww」
「お嬢…さん?」
「不動産屋にいってどうすんの?家買うってか。家買ってもここのステージには戻らないよマジワロリッシュw」
「…もうっ!無視しないでください!」
「え?あ、スミマセン」
私に話しかけてたのか。
気付かなかっ…
「こんにちは、お嬢さん☆」
列の私の前に並んでた変な人に話しかけられました。
びっくりしすぎて危うくゲーム機を落としそうになる。
慌てて落ちないようにぎゅっと握りしめてその人を見た。
「こ、こんにち……!」
「ん?どうかいたしましたか?」
めめめめ、目の前にいる人がっ!
目元の部分だけトンガリ頭の人に似てる!
し、知り合い…だったりしないかな…?
「ところでお嬢さん、今日は平日ですよ?学校はどうしたんですか?」
「え、あ、今日は学校なくて…」
「ほぉ。…しかしおかしいですな。見る限りその制服は正十字学園のモノ。確か正十字学園は今日学校あったはずだが?」
「…うっ」
「あぁ、あったはずではありませんね。ありますよ、学校。」
「…もっ、もしや…!学校関係者か!」
「当たりです☆」
ううわぁぁぁぁああぁあぁぁあぁあああぁぁぁぁぁぁ!
どうしようどうしようどうしよう
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいどうか見逃して頂けませんかごめんなさいごめんなさい」
「ウーン、困りましたねぇ…こういうことは理事長として見逃すわけには…」
「りっりっ、理事長?!」
「はい☆正十字学園理事長のヨハン・ファウスト5世です」
ぱちっとウィンクつきで自己紹介をされた。
どうしよう困ったまさか理事長と遭遇するなんて…。
しかもこんなところで…?
ん?
「あの、理事長は何故こんなところにいるんですか?」
「それはもちろん、ハニハニ☆シスターズのゲームを買うためですよ」
な、なんか理事長…私と同じにおいがするよ理事長。
理事長ってオタクだったのか理事長。
ってか正直この人が理事長っていうのも凄く怪しいんだよね…。
「貴女もゲームを買いに?」
「あ、ハイ。そうです。フィギュアがついてくるなんて普通はないですからね。フィギュア欲しいんですよ」
「いかにも!ゲーム買ったらフィギュアがついてくるとは前代未聞です!これは並んで買うしかないでしょう!」
「で、ですよね!しかも300個限定なんてもう魅力的すぎて学校どころじゃないですよ!」
「いやはやその気持ちはお察ししますよ。…仕方ありません、今回は見逃しましょうか☆」
「やったあああああ!ビバ!理事長!」
今回だけですよと言って、ウィンクをされた。
なんだこの理事長ウィンク好きなのか。
まぁそういうおちゃめな人はきらいじゃないけれども。
「あぁ、いいこと思い付きました!」
「…え?」
「このゲームを買ったらどうです、お茶にしませんか?理事長室にご招待しますよ☆あ、ちなみに拒否権はありません」
拒否権ないんだ…
まぁでも、楽しそうだからいいかななんて思っちゃう私は一体なんなのだろうか。
もし、理事長じゃなかったら、その時はその時でどうにかなるかなみたいな。
「いいですね!」
二つ返事でオッケーした私はそうとう馬鹿だと自分でも思う。
やさしい理事長(おじさん)?
(あぁでもいったん帰ってお風呂入りたいです)
(それくらいは構いませんよ)
なまえちゃんは同世代の方とろくに喋れません。
年上はバリバリ大丈夫です。
そしてアマイモンが出てこない件について←
自分がメフィストを書くとオネエっぽくなるのは何故だ。
(120403)
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