永遠の夢

□躊躇いがちに握り返した
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委員会を抜けて、柳生と名字はベンチに腰を下ろしていた。

遠巻きに見据える生徒達を睨み付けながら名字は柳生の手を払い除ける。


「もぅいいですよね。いい加減離れてください」


つんけんとした態度で払われた手を苦笑いで見据える柳生。

名字は一瞬しまった、と言うように表情を歪めたが柳生はそれに気付かなかったのかすみません、無神経でしたね。と謝罪を告げた。


「……帰って良いですよ。真田先輩に怒られたいんですか?」

「名字さんを一人にはできませんから」

「……偽善者」

「そうかもしれませんね」


言い返されること無く受け入れられた罵りに名字はバツが悪そうに口を閉じた。

浮かぶ色は、後悔と嫌悪。

けれど自分から口にした言葉を覆す事など名字には到底できない事なのだろう。

名字は口籠もりながらも聞こえるか聞こえないかの間の大きさで柳生を呼ぶ。


「……柳生先輩」

「?……どうかしましたか?」


自分から声を掛けておいて何だが、名字は続く筈だった言葉を喉に詰まらせながらベンチから腰を上げた。


「柳生先輩って私が好きなんでしょ?」

「!」


疑問系で問い掛けているにもかかわらず、名字の声音は答えを求めたソレとは違い、ただ確認をするための形をとっただけのようだ。

柳生にしてみれば、隠してきていたつもりの感情を本人に言い当てられたことに対する困惑と気恥ずかしさが入り混じっているのだろう。

頬をうっすらと染めながら言葉を探す姿は恋をする女子生徒と何ら変わりはない。


「どうしたんです?」

「……名字さん、は……その、いつ…」

「そうですね、先輩が私を目で追い出した時くらいからですよ。たぶん」

「……」


名字の言葉に、柳生はただ沈黙を返した。
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