永遠の夢

□ベットの上だけで、告げることのできる想い
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- 柳生Side -

「――名字さん」


虚しく消えるそれは、まるで今の私のように無力で無価値だった。

彼女と知り合うのは、彼よりも早かった。

元々問題児だった彼女は何度も先生方に呼び出され、そのたびにひどく荒れていたのを今でも鮮明に覚えてる。

簡単に折れてしまいそうな細い腕は信じられないような力を発揮し、腰程まである机を投げ付けたのだ。

名字!と、切羽詰まった声が無数に響く中で、私は場違いな程に彼女に魅入っていた。

人に怯える猫のように牙を向き、悪戯に辺りを散らかす姿が無性に私の何かを掻き乱すのだ。


「名字さん」


ぽつり、と役立たない呟きを零しながら、情けないと己を罵った。

幾多の女生徒の告白も、アプローチも、私の想いを揺るがすものなどなかったのに。


なぜ、私は彼女に惹かれているのでしょうか?

彼女は私に一線を引いたままだというのに。


なぜ、私は彼女を求めるのでしょうか?

彼女は私になにも与えては下さらないというのに。


なぜ、私は彼女がこれほどまでに愛しいのでしょうか?

彼女は、私のことなど見ていないというのに。


あぁ、彼女は罪な方だ。

そして私は不様で滑稽なのでしょうね。


「……思っていたよりも、案外苦しいものですね」


胸が苦しい。

ままならない呼吸も、

静まらない動悸も、

外されない視線も、

揺るがない想いも、

何もかもが、今の状態では意味をなさなかった。


「好きです」


どうか、見逃してください。

彼女の恋を応援します。
私は邪魔などしません。

だから、どうか――




――どうか、今だけは






ベットの上だけで告げることのできる想い



「好きなんです」


たとえ、彼女に伝えられないとしても


彼女を愛すことを、許してください。





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