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□平面上の可能性
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「また昼休みなのに勉強してんのかよ」
私の背中に当たった丸めた紙くずが落ちる乾いた音と一緒に、クラスの男子数人の笑い声が聞こえた。
「勉強じゃないだろ?小説なんていうもっと暗いことさ。友達いないからそんなことしかできないんだろ」
小説といっても、それはただ白い紙に並ぶ黒い存在の制限されたものではない。
文字と文字を合わせれば合わせるだけ、そこにはいくらでも可能性が広がる。ただの限られた平面に限定されやすいけれど、小説とはそういうものだ。
私は小説家を目指して、この学園に入学した。
文芸部はなかったけれど、ここは声優やイラストレーターなどのたくさんのクリエイターが通学している学校。
そんな様々な個性と夢を持っている人に囲まれて青春を過ごしたかった。
それが、入学当初からの私の変わらない希望。