short2
□憧憬
3ﾍﾟｰｼﾞ/9ﾍﾟｰｼﾞ
魔法を実際に学べるまでは、長い鍛錬が必要となる。なぜならば魔法というのは、この世界ではそれほど困難で、使いようによっては危険だとされているからだ。
魔法が使われた犯罪も多く、その犯罪を同じ魔法で取り締まっている人々も多い。
この長い鍛錬で気がおかしくなってしまう人物もいれば、別のことの使用を考える人物もいる。それほどまでに過酷だった。
その鍛錬の中でも、少女は幼い頃の希望を持ち続けていた。全ては、少女の憧れである魔道士に追いつくために。人を幸せにする魔法を見つけるために。
最終テストまではあと数日しかない。毎日寝る間も惜しんで勉強しなければ、到底難しいだろう。
そんなことを考えながら、廊下を歩いていると、突然やわらかい壁にぶつかった。アンネはぶつかった衝撃で後ろへ座り込んだ。
「ごめんなさい！」
アンネが慌てて謝ると、答えが返ってくる前に手が差し出された。
「大丈夫？」
青年の優しい声が降ってきて、アンネが手をつかもうか迷っていると、手を青年によって掴まれた。
「あっ、君、アンネ・クルートンだね」
青年はアンネを手を引っ張って起こした後、青年はアンネがお礼を言う前に、アンネの名前を当てた。
．