short2

□その眼差しの意味を未だに僕らは知らない
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 私は、最近ノラと呼ばれている。



「ノラ!会いに来たよ!」


 少年の声がする。私は少年が喜ぶように、長い尾を振ると、少年は坂を駆け下りてきた。


「ノラ!」


 私が少年が坂を下る地点まで迎えに行くと、いつも通り頭をぐしゃぐしゃにされた。


「今日もやわらかい毛だね。お前、本当にいい犬だよ」


 少年は私の頭をぐしゃぐしゃにしながら、いつも通りの台詞を言う。


 私から言わせれば、少年も少年なのになかなか頭をなでるのがうまい。

 ついでに最後に毛並みを整えてくれるのだから、文句なしである。




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