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□9つの真実と1つの虚構
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『話があるんだ』


 その1つのメールのために、私は今、改札口を抜ける。そういえばこの場所では、もう何年も通っている中で、たくさん待ち合わせをして、たくさんここで別れた。


 どうか、その全てが今日一度に起こりませんように。

 例えば、メールの話の内容が『俺、お前にもう会いたくないんだ』とか。それで会った瞬間ケンカ別れとか……。


――想像したくもない。


 私は頭を振って嫌な予感を振り払ったのを見ていた人は、私の確認できる範囲では1人もいなかった。



 そういえば、ここで彼を何時間も待ったこともあった。1度か。

 しばらく会えないから私がどうしてもと言って、無理に相手が忙しいところ来てくれたから、どうしても待ちたかっただけだけれど。

 相手がどこにいるか分からないから、相手は私のことをすぐ見つけられるようになんて、自分で言うのもなんだけれど、なんて愚か。


 お蔭でその後お茶したときは体調崩したな。

 何時間も外で待ってたせいだなんてそんなことも言えないから、私たちは仲が良さそうに見えるかもしれないけれど、そこまで深い仲ではない。

 そして彼もそのことに気づいていて言ってくれるほど私のことをよく分かっていない。私が多くを語らないから当然だけれど。

 でも心配してくれて、忙しいのにその後私の体調が戻るまで待っていてくれた。


 私と彼の関係はといえば、そんな関係。詳しく言うと、何回か2人っきりで待ち合わせしてお茶したり買い物したりする仲。

 そこら辺のカップルに負けないくらい仲良しなのも、大好きなことも合っている。しかしそれは、私の知っている限り、私だけ。


 本当の関係もお互いどう思っているのかも分からない。私が本当のことを言うのも、聞くのも怖いから、そんなぎくしゃくした薄っぺらい関係になっている。



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