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□9つの真実と1つの虚構
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「でねー、またねー」


 いつも通り彼の行きたい場所に合わせると、私のお気に入りのカフェに着いた。私は本題に入るのが怖くて、またいつも通りひたすら話をそらす。

 こんなことをしていると、いつも嘘をついている気分になる。いつも誠実で大切にしたいだけなのに。

 しかし、私がそんなことしてられるのは、数10分。もともと話す方でもないし、話の引き出しが多いわけでもないから、私の悪あがきは長く続かない。


「話って何?」


 怖くなると相手のタイミングで話させないのも、私の悪い癖の1つだ。悪あがきに疲れて、本題に入らないのも怖くなってなんて、なかなかのわがままだ。

 本当は話が何なのか聞きたくなかったけれど、私たちの関係上、彼がいつまで私と時間を過ごしてくれるかも、次いつ会えるのかも分からない。

 そこまで結論を先延ばしにして、それまでまた恐怖と期待にかわるがわる支配されて平気でいられるほど、彼への気持ちは弱くない。


「あぁ、今日は本当のことを全部言おうと思って」

「本当のこと?」


 何だか嫌な予感がする。私、何か嘘つかれてたっけ?


「全部で9つあるんだ」

「9つ!?」


 思い当たる節を探してみる。……結果、1つも見つからなかった。


 そういえば、自分のことを取り繕うのに必死で、彼のことをそんなに見ていなかったかもしれない。

 彼の顔色ばかりうかがっていたけれど、結局私は彼のことをそんなに見ていなかったのだろうか?



「まずね」


 そんな私にかまわず、真実は明かされ始めた。



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