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□真実を探す男
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「1階は応接室になっているから、ここの方が話しやすいでしょ」


 私が話しかけたのを無視するところは相変わらずのようだ。何も言わずに辺りを観察している。


「何階まであるんだ?」

「屋上まで」

「……答えになっていない」

「あら、そう?」

「どちらにしろ、あなたを連れてこれるのはここまでよ」

「……そうか」



 彼はまだ私の手をつないだままだった。もしかしたら、彼には多くのことが分かっているのかもしれない。



 ありえない。



 まだ会って間もないのに。涙をこらえながら、私は彼の沈黙を守っていた。


「ここに連れてきたということは、何か伝えたいんじゃないか?」


 しばらくして、彼は私に聞いた。


「何か言わなければ伝わらないの?」

「じゃあ、俺の話を聞いてくれるか?」

「えぇ」


 ここまでしか彼を連れてこれないのだから、せめてあと数分の彼の傍にいる間は、綺麗なままの自分でいたかった。



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