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□真実を探す男
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「着いたわよ」
私がビルの前で立ち止まると、彼は驚いたようだった。後ろに引っ張られたので、私は動かないままでいた。
「……ここに連れてきたかったのか?」
「そうよ」
このビルには見覚えがあるらしい。それもそのはず。ピンク色のお花畑の中で、このビルだけが灰色で異質なのだから。
「なぜ遠回りをしたんだ」
「聞いている立場なのに、ずいぶんと威圧的ね」
「急いでいると最初に言ったはずだ」
「何で急いでいたんだっけ?真実を探していたったからよね」
「そうだ」
彼は『分かっているくせになぜ急がなかった』と責めるように、私の手をふりほどいた。
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