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□真実を探す男
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「……それで、どこまで行く気なんだ」


 私が歩いていると、後ろから無表情な声が聞こえた。


「えっ?」


 いつの間にか私の手を引いていた彼は、後ろで私に手を引かれている。


「どこまで行くのかと聞いたんだ」

「私の真実がある場所まで」

「どこまで歩いても同じ場所しか見えないんだが」


 それもそのはず。私の世界はずっとピンク色のお花畑で占められているのだから。


「その服で居づらいなら、ピンク色の服でも着る?」

「先を急いでいるのだが」


 彼はそれだけ言って、言葉を口に出すことを止めた。この無愛想はしゃべる言葉も最小限に抑えたいらしい。

 だから私も最小限で答える。


「知ってるわ」

「君も急いでくれと言わなければ理解してもらえないのか?」

「あなたが急いでいるのと、私が急がなければならないのは別でしょ。私に急いでほしいというのはあなたの希望にすぎないわ」

「どちらも俺の希望に変わりはない」

「後者は私の希望と重ならなければ達成されることはないわ」

「君は俺のために動いてくれてるんじゃないのか?」


 私の足が急に前へ進めなくなった。どうやら彼には、もっと真実が必要らしい。


「あなたが探している真実は目に見えるものなの?」

「……分からない」


 彼が探しているものを口にすると、彼は元の寡黙な男に戻った。私は前に進めるようになったので、また前に進み始めた。


「しかし、どこにでもあるはずのものだ」


 黙ったていたと思っていた後ろから声が聞こえた。


「じゃあ、あなたが見つけられないだけでここにもあるのよ」

「君は知っているのか?」

「私が知っている真実は1つしかないわ」

「そうだったな」


 その声が何かやわらかみを持っていて、私はその理由を知ろうとしたが、男は元の無愛想に戻ってしまった。



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