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□再会は無記録
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「私の最愛の人からもらった指輪だったのよ!!!」
もう何度目になるか分からないが、その女性は飽きることも疲れることもなく同じことをまた叫んだ。
小さいころからの夢を叶えてやっと故郷の街で探偵になった僕であったが、すでにストレスでどうにかなってしまいそうだった。
ということであまり意味はないと思うのだが、やらないよりはマシだと思い、僕はその日の夜街を歩いていた。
さっきから同じく奴を捕まえるためパトロールしているすれ違う警官に不審な目を向けられながら、その度に説明している。
これじゃあ、奴を捕まえに来ているのか僕が捕まりに来ているのか分かったものじゃない。
奴が出るようになってから街灯は増えたが、外出を恐れた人々が街を歩かなくなったため街が静かであることに変わりはない。
「キャーー!!」
警官に会わないことに安心していた僕の耳に、甲高い女性の声が響いた。
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