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□北風と太陽
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「シャイン様ーー!!」



 周りでは少女の黄色というよりピンク色の声が響いている。



 その真ん中には、金髪で金色の目の長身で容姿端麗の青年がいる。


 彼の両親は、生まれたときその金の髪と目が美しくて「輝き」という意味で名づけたが、まさかここまで美しく成長するとは思わなかっただろう。



 −―そして、こんな出世するとも。




 シャイン・ボヤージュ。



 彼のこれからの名前だ。


 彼はボヤージュ国の王女様に一目ぼれされて、異例に王子として王族に迎えられた。



 今日はそのお祝いのパレードだ。


 シャインは真っ白な大きな馬に乗って、手と笑顔を振りまいている。国の大通りにはたくさんの人々が両脇に列を作って、新しい王族を歓迎している。




 しかし誰もがシャインを歓迎しているわけではなかった。


 華やかなパレードの雰囲気とは隔離されていると言っても過言ではないくらい、暗い空気を一人の青年がまとっている。


 目が合ったらすぐに逸らしたくなるような黒目黒髪のしかめ面のその青年は、静かにシャインを見つめている。




 シャインはその青年に目を留めると、あろうことか白馬を止めて馬から降りた。


 周りの人々がざわめく中、シャインはその青年に向かって片手を上げた。



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